「いつも話しかけやすいな」と思う後輩がいる。
全員が忙しそうで、
それでも誰かに話しかけなければいけないとき、
その後輩が、目に入る。
「ごめん、ちょっとだけいい?」
声をかけることができる。
後輩は、誰と話していなくても、
何もしていない顔が、笑っている。
話しかけると、
視線を上げて笑顔で迎えてくれる。
後輩の笑顔は、いつもそこにあって、
「いつでもどうぞ」と言っているみたいだった。
何かあれば力になりたいと、自然に思っていた。
きっと、他の人もそうだろうと思った。
後輩と私は、同じ場所に立っていても、
見ている光が少し違う気がした。
私もその景色を見てみたいと思った。
とりあえず、
笑顔を真似してみることにした。
最初はぎこちなくて、
気を抜くとすぐ無表情に戻っていた。
それでも、続けた。
続けていたら、
笑顔は気分まで笑顔に変えてくれた。
笑顔でいる時間が増えると、
人の反応が変わった。
今まで関わらなかった人と言葉を交わし、
話したことのない話題が広がった。
新しい景色が広がった。
同じ景色でも、光の入り方が違って見えた。
まだ知らない美しさが、こんなにもあると知った。
無理もせず、作らなくても、
いま、私は笑っている。
「いつも笑っているよね」と言われる。
話しかけられることも増えた。
鏡の前を通り過ぎるなんでもない時に、
笑顔でうつる私を見つけて、
「今日の私も好き」と心から思える。
今の私を連れてきてくれたのは、
あのとき笑顔を選んだ私。
人に会い、
「次は何をしてみよう。」
そう思える私が、好きな私を更新していく。

