私は、物に強く惹かれることが、あまりない。
一人暮らしを始めた頃、
部屋には日々使うものしか置いていなかった。
友人の家には
たくさんの小物が置かれていて、
飾り気のない部屋が、
そのまま自分の姿のように思えた。
目に入る可愛いものを買い始めた。
けれど、物が増えるにつれ、
少しずつ落ち着きが奪われていった。
レシートに✘をつけることは、ここでも効いた。
「本当は、いらなかった。」
私は、高価な物の価値はよくわからない。
使うたびに
「これは好き」と思える物にも
あまり出会わない。
好みと使い勝手が満たされているなら、
負担の少ない方を選ぶ。
センスの良い物を選べているか。
センスよく飾れているか。
そういうことに心を使い続けることも
私は少し苦手だ。
だから、多くの物を持つことをやめた。
部屋の中にも、引き出しの中にも、
余白がある方が落ち着く。
私自身も、建物も、
深い呼吸ができているように感じる。
私が持つ物には、
生活を静かに支え、
何も主張しない存在でいてほしい。

